オキシブチニンも抗ムスカリン作用を持つ成分です。抗ムスカリン作用は、アセチルコリン受容体のひとつである「ムスカリン受容体」の働きを阻害する効果の事を指し、先ほど説明した抗コリン作用というのがこれに当たります。
オキシブチニンは、頻尿や尿失禁の治療を目的として使われる事が多い成分ですが、発汗を抑制する効果も持っています。
副作用としては、発汗が過度に抑制されることによる体の火照り、めまい、眠気、口の渇き、食欲不振、便秘など様々な症状が報告されています。
先ほど紹介したポラキスの例のように、頻尿治療などを目的にオキシブチニン処方される事があるようですが、ここで紹介したが「オキシブチニン外用薬」は、まだまだ研究、開発段階であり、いつ市場に出回るかは未定です。
BBI-4000(おそらく開発中のコードネーム、成分名等は不明)は、日本の科研製薬株式会社と、アメリカに本拠地を置くBrinckell Biotech社が共同で開発を行っている新薬で、こちらも抗コリン作用を持つ外用薬となっています。
科研製薬の公式ページによると、BBI-4000はソフト抗コリン剤と呼ばれる薬で、汗腺がある皮膚に直接塗布すると、その成分が体の中へと取り込まれて、効果的に汗を止める事ができるようです。また、服用薬のように全身へと行き渡るわけではないので、副作用も少ないとしています。
科研製薬株式会社は、1948年に設立された、主に整形外科、皮膚科、外科分野の医薬品の開発を行っている、従業員数1000人を超える製薬会社です。
また、医薬品の開発の他に、農薬、家畜の飼料添加物、動物用医薬品等の開発にも力を入れています。
Brinckell Biotech社は、アメリカのフロリダ州に本拠地を置く会社で、主に多汗症、接触性皮膚炎、皮膚T細胞リンパ腫、乾癬の治療薬の製造・開発を行っています。
今現在は、先ほど紹介した科研製薬に加え、韓国のアモルパシフィック社ともパートナーシップを結んでいるようです。アモルパシフィックはソウルに本拠地を置く会社で、アジアで有数の化粧会社として有名です。
世界の市場調査資料を取り扱う「Global Information社」の報告によれば、先ほど紹介した「Brickell Biotech社」、「Dermira社」の他に、
・TheraVida Inc
・GlaxoSmithKline Plc
・Allergan Plc
・Dr. August Wolff GmbH & Co KG Arzneimittle
といった会社で腋窩多汗治療薬の開発を行っているようなので、近いうちにまた新たな新薬の情報が出てくるかもしれません。
今回紹介した、3つの外用薬は、抗コリン作用により発汗を抑えるといったものとなっております。
今現在、多汗症治療に用いられる外用薬は、塩化アルミニウムやクロルヒドロキシアルミニウムといった金属塩を用いたものが主流となっており、もしこれらの新薬が市場に出回れば、多汗症治療に革命をもたらす可能性は多いにあると思います。いち早く実現して欲しいものですね!
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