ボトックス注射では、クリームタイプや注射器で注入するタイプの麻酔薬が用いられます。また、患者さんの希望により笑気麻酔が用いられれることもあるようです。

笑気麻酔は亜酸化窒素を含む麻酔ガスであり、これを吸入することで手術時の恐怖感などを和らげて、落ち着いた状態で治療に望めるようになります。これは歯科治療にも良く用いられる安全性の高い方法で、ガスの毒性や人体への悪影響等については心配する必要はありません。

麻酔は別途オプションの場合も!

病院やクリニックによって麻酔にかかる料金は異なります。ボトックス治療に麻酔の料金も込みのところもあれば、別料金で設定しているところもあるようです。そのため、治療を行う際は注射の金額だけではなく、麻酔の金額や別オプションの麻酔まで考慮する必要があります。


例えば、エースクリニック(ACE CLINIC)では局所麻酔の注射に加えて別料金で笑気麻酔も行う事ができます。


浜口クリニックでは 麻酔クリーム:2,770円、笑気麻酔:2,770円(すべて税抜き)という価格で提供していました。

高須クリニックは麻酔クリームとODT併用

高須クリニックでは、少しでも患者の痛みを軽減するために麻酔クリームとODTを併用した方法を取り入れているようです。

ODTとは、密閉療法の事を指し、化粧品などの外用剤を塗布した後にサランラップなどで覆うことで、その薬剤の有効成分を効果的に肌へと浸透させる事を目的に行われます。

麻酔クリーム塗布時にこの方法を用いる事で麻酔の効果を高め、ボトックス注射時の痛みを抑えるとのこと。

無針浸透注入療法について

無針浸透注入療法とは

無針浸透注入療法とは、名前の通りに針を全く用いずに薬剤を肌に注入する方法の事を指します。その原理はものすごく単純なもので、勢い良く薬剤を噴射することで、肌の奥へと浸透させるというだけです。

従来の注射針の直径は約0.26㎜であったのに対し、この方法では0.03mmと約10分の1の直径をもつ薬剤を噴射させることになるので、痛みはほどんど無く、少し圧を感じるだけになります。

注射跡は蚊に刺された跡よりも小さい!

ちなみに、蚊に刺されたときにできる傷が0.06㎜という事なので、無針浸透注入療法による傷口は蚊に刺されたときの傷口よりも小さいものになります。

ここまで小さい傷口で済むのですから痛みがない事にも納得できますね。

無針浸透注入療法で痛みを軽減!

これまで述べてきた通り、特に手の平へのボトックス注射ではその痛みは激しいものとなります。

この痛みを緩和するために麻酔を行った上でボトックス注射をしていたわけなのですが、そもそも注射自体を改良すればその痛みの問題は解決されるはずです。


つまり、ボトックス注射 × 無針浸透注入療法という掛け合わせにより、ボトックスの痛みは克服できるはずです。調べたところによると、ACE LINICでは、この組み合わせによる手掌多汗症向けのボトックス注射が行われているようです。

無針浸透注入療法の費用

無針浸透注入療法はいくら?

2018年5月現在、手掌多汗症の治療に無針浸透注入療法を導入しているACE LINICの治療費を参考にすると無針浸透注入療費は86,400円/回です。


ちなみに無針浸透注入療法はオプションという形のため、この金額に別途ボトックス注射の金額がかかってきます。ACE LINICでは、2種類のボトックス注射を用意しているようで、それぞれ以下のような価格になるようです。

・リジェノックス:99,600円/1回

・ボトックスビスタ:172,800円/1回


これに無針浸透注入療法の利用によるオプション料金を加えると、以下の金額となります。

・リジェノックス:186,000円/回

・トックスビスタ:259,200円/回

年間でかかる金額

上記の金額を参考にすると、無針浸透注入療法を用いたボトックス注射で手汗を抑える場合の年間コストは以下のようになります(年2回~3回ボトックス注射を行う場合)。

・リジェノックス:372,000~558,000円/年

・ボトックスビスタ:518,400~777,600円/年


かなり高額な料金になってしまいますね。痛みを取るか、お金を取るか難しい選択です。

ボトックス注射の痛みは抑えられる【総括】

ボトックス注射の痛みを減らすには「麻酔の使用」と「無針浸透注入療法の適用」の二つの方法があります。これらの方法には以下のようなメリット・デメリットが存在します。


【麻酔の使用】
・メリット:料金が安い

・デメリット:麻酔をしても痛みはある



【無針浸透注入療法の適用】
・メリット:痛みがほとんどない

・デメリット:料金が高い


 
どちらも一長一短であり、ご自身の財布の状況やどれくらいの痛みまでなら許容できるのかなどに応じて選択していく必要があります。

最新の医療現場では、ワクチン接種やインスリン投与などで針のない注射器が用いられるようになってきており、今後はそちらの方が主流になるのではないのでしょうか?同様に、無針浸透注入療法を用いたボトックス注射もこれからどんどん普及していくのではと思われます。

無針浸透注入療法が一般に普及し広まる事で、ネックである施術料金が下がり、ボトックス注射は「激しい痛み」の問題点を克服することができます。ボトックス注射での手汗治療の今後の動向に期待したいですね。

他の手汗対策に関する記事もチェック!

当サイト「手汗ノート」では汗や手汗に関する100を超える記事を提供しています。その中でも、「ボトックス注射の痛み」に関して解説した本記事を読んだ方々が次に読むことの多い2つの記事を紹介します。

ぜひ読んでみてください。

▲ ボトックス注射や制汗剤、イオントフォレーシスなどの手汗対策について、「かかる費用」という観点からそれぞれを比較した記事。「具体的な対策方を探している方」は必ず読みましょう。

▲ 制汗剤に使われる成分である「塩化アルミニウム」や「クロルヒドロキシアルミニウ」について解説した記事。「制汗剤を試してみたいけど、副作用がないか心配」という方は、この記事を読んで成分について正しい理解を得ましょう。


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