ボツリヌス毒素とは、ボツリヌス菌が生成する毒素のこと。筋肉の緊張を緩める作用がある事が知られており、斜視の治療に用いられた事をキッカケに、医療現場で広く使われるようになりました。
最近では、しわ取りや痩身治療、多汗症治療などの美容領域でよく利用されています。
尚、医療現場で用いられるボツリヌス毒素製剤は、医薬品用に精製されたものであり、ボツリヌス菌に感染するといった事はありません。
美容外科の広告などでよく目にする「ボトックス」という言葉は、アラガン社から販売ボツリヌス毒素製剤「BOTOX VISTA」の事を意味します。
すなわち、ボトックスとは商標名であり、ボトックスはボツリヌス毒素製剤の一つという事になります。
ボトックスビスタとは、アラガン社が製造・販売を行っているボツリヌス毒素製剤のこと。
記事上部でも解説したように、ボツリヌス毒素製剤はいくつも存在します。しかし、ボトックスビスタのみが日本で唯一厚生労働省から製造・販売が認められた製品となっています。
日本でこの商標を使用できる権利を持っている会社は「アラガン・ジャパン株式会社」と「グラクソ・スミスクライン株式会社」の2社のみです。
尚、美容クリニックなどのホームページ等にボトックス注射と明記されている場合、これはアラガン社製のボツリヌス毒素製剤を使用する事を意味します。仮にアラガン社以外の製品を使用している場合は、ボトックス注射と表記する事は出来ません。
ボトックスビスタは、2002年にアメリカのFDAに承認。その7年後の2009年に日本でも製造・販売が可能になりました。世界で95%以上のシェアを誇り、使用例は延べ2000万人を超えるとの事です。
厚生労働省から承認を受けたボトックス注射の場合、施術により健康を害すると「医薬品副作用被害救済措置」という制度により救済給付を受給する事が出来ます。ちなみに、給付内容は、症状に応じて医療費手当、障害年金、遺族年金など計7種類が用意されています。
また、製造・流通・販売の過程が厳しくチェックされるため、粗悪品が出回りにくいという利点もあります。
さらに、アラガン・ジャパンは、ボトックス注射を行う医師に、自社が提供する講習の受講を義務付けています。そのため、しっかりとした知識を持った医師のみがボトックスを扱え、患者も安心して施術を受ける事が出来ます。
アラガン社はアイルランドの首都・ダブリンに本拠地を置く医療機器、医薬品の販売製造を行う会社です。創立60年の歴史があり、世界100ヵ国以上に進出しています。
今現在アラガン社が参入している分野は、神経科、皮膚科、美容医療、形成外科、泌尿器科、消化器科、婦人科など多岐に渡ります。
特に日本では美容領域に力を入れており、A型ボツリヌス毒素製剤「ボトックスビスタ」、ヒアルロン酸使用軟組織注入材「ジュビダームビスタ」、ゲル充填人工乳房「ナトレル」といった商品を販売しています。
グラクソ・スミスクラインはイギリスのグローバル製薬会社。日本には「グラクソ・スミスクライン株式会社」がグループの一員として存在しています。
2011年にはボトックスがワキ汗の多汗症として効果があることを正式に認めてもらえるよう承認申請を行い、2012年12月には承認されました。
ボトックスとは、アラガン社が販売するボツリヌス毒素製剤の商標名であり、数あるボツリヌス毒素製剤の総称ではありません。
日本で唯一厚生労働省から承認を得ているボツリヌス毒素製剤であり、製造・販売・流通の過程がしっかり管理されています。また、アラガン社ではボトックス注射を使う医師の教育も行っており、健康被害が出ないよう努めています。
ボトックス注射でのワキガ・多汗症治療をお考えの方は、使用するボツリヌス毒素製剤にも着目してみてはいかがでしょうか。
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