汗と自律神経(交感神経・副交感神経)、アセチルコリンの関係解説!【改善法も紹介】

最近身体の調子が悪く汗が多い...という方は一度自律神経について学びましょう。交感神経・副交感神経が原因となっているかもしれません。

自律神経とは

自律神経は神経系のひとつ

神経系は、外部からのストレス(例えば気温など)を察知してその情報をもとに体の状態を調節する器官の総称であり、大きく「中枢神経系」と「末梢神経系」の二つに分類する事ができます。

中枢神経には脳や脊髄といった器官があり、末梢神経はさらに「体性神経系」と「自律神経系」に分ける事ができます。

体性神経系は随意神経系とも呼ばれ、運動神経や感覚神経などが属し、外部からの情報に応答して反応します。

一方、自律神経は不随意神経系とも呼ばれ、呼吸や内分泌などの内部環境の恒常性を保ちます。

交感神経・副交感神経の役割の違い

自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類があり、交感神経は体を活発な状態にし、副交感神経は体をリラックスさせる働きを持つ。この二つの働きが互いに拮抗することにより体の恒常性が維持される。

例えば、体を動かしたり、緊張したりすると、心拍数が上昇します。これは、交感神経の働きが活発になる事で引き起こされます。逆に、夜寝る前は副交感神経の働きが優位となり、心拍数は減少します。つまり、交感神経と副交感神経のバランスによって心拍数が調節されているという事になります。

ただし、体内のすべての機能が交感神経と副交感神経の二つで調節されているわけではありません。毛を逆立てる立毛筋や汗腺といった器官では、交感神経のみで調節され、副交感神経は関与していません。

自律神経の情報伝達について

自律神経は節前繊維・節後繊維の2つの部分からなり、その二つの部分の境目と、神経末端から「神経伝達物質」が分泌して刺激を伝搬させます。

自律神経の神経伝達物質には、「ノルアドレナリン」と「アセチルコリン」という二つの物質が用いられます。それぞれ以下のような伝達経路で用いられます。

節前ニューロンから節後ニューロンへの伝達 → アセチルコリン
交感神経の節後ニューロン末端での伝達 → ノルアドレナリン
副交感神経の節後ニューロン末端での伝達 → アセチルコリン

節前繊維から節後繊維への情報伝達は、交感神経、副交感神経のいずれも「アセチルコリン」となるので注意して下さい。また、基本的に交感神経末端から分泌される神経伝達物質は「ノルアドレナリン」なのですが、例外的に汗腺の場合はアセチルコリンが分泌されます。

自律神経と発汗の関係性について

発汗は交感神経の働きで促される

発汗機能は交感神経のみでその機能が調節され、副交感神経は全く関与していません。交感神経の働きが活発になると、その神経末端からアセチルコリンが分泌されて、それが汗腺のアセチルコリン受容体と結合することで発汗が促進されます。

発汗のメカニズムについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

*汗腺では例外的に交感神経末端からノルアドレナリンではなく、アセチルコリンが分泌されます。

手汗が出るタイミングと交感神経の関係

手汗は精神性発汗と呼ばれるものに属し、緊張や不安といった精神的なストレスを過度に受ける事で発汗が促されます。

また、交感神経は活発に行動している時や、緊張状態に直面した時にその働きが優位になります。つまり、緊張した場面になると、交感神経の働きが活発になり、その神経末端からアセチルコリンが分泌されて汗腺からの発汗が促されるという事になります。

これが緊張した場面で手が汗でべちょべちょになるメカニズムとなります。

自律神経の乱れがもたらす症状

自律神経失調症

過度のストレスや更年期のホルモンバランスの乱れ等により自律神経のバランスが崩れる症状の事を「自律神経失調症」と呼びます。

自律神経は不随意神経と呼ばれることからも分かるように、意識せずとも作動し、体の状態を正常に保ってくれています。この機能に異常が生じると、

・動悸
・めまい
・吐き気、胃の不快感
・体の火照り、手足の冷え
・多汗

など様々な症状が引き起こされます。治療には薬の服用、生活習慣の改善、精神療法といった方法があります。

過呼吸症候群

「過換気症候群」や「過剰換気症候群」といった呼ばれ方をする場合もあります。過呼吸症候群の発作が起こると、呼吸が速くなり、息苦しさ、手足のしびれを感じ、酷いときは失神してしまうこともあります。

その発症原因は、「自律神経の乱れ」、「呼吸中枢の異常」など心的要因と身体的要因の場合があります。過呼吸中は、血中の二酸化炭素が減少するので、血液がアルカリ性になり、これが交感神経の亢進や手足のしびれをもたらします。

メニエール病

めまいに加え、耳鳴りや耳が聞こえにくいといった症状を伴う疾患をメニエール病と呼びます。メニエール病の詳しい原因はまだ分かっていませんが、自律神経の異常も原因の一つではないのかと考えられています。

治療法としては、薬物治療、生活習慣の改善、前庭神経切断手術などがあります。

自律神経の乱れの改善法

自律神経が乱れる原因は主に2つ

自律神経のバランスが崩れてしまう原因は、過度のストレスと生活習慣の乱れの2つが大部分を占めます。過度のストレスを受けると、体は常に緊張状態となり、交感神経が優位な状態となり、不眠や多汗といった症状に悩まされることになります。

また、一日の中で交感神経と副交感神経のバランスは周期的に変化していきますが、夜更かしなどをして不規則なサイクルで生活を送ると、自律神経のサイクルにも異常が生じてしまいます。適度に気分転換を行い、生活習慣の改善に努めましょう。

軽い運動やストレッチ

現代人は強いストレスに晒され、交感神経の働きが活発である場合が多いです。軽い運動やストレッチを行うと、心拍数や血圧が上昇して、交感神経の働きが一時的に活発になります。

しかし、その反動で交感神経の働きは抑えられ、体がリラックスした状態になります。これにより、夜の寝つきが改善され、自律神経が整えられます。ヨガやピラティスなども同様の効果が期待できます。

正しい入浴を行う

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