お酢には殺菌効果とアルカリ性の液体の中和効果があり、ワキガに有効であると考えられています。
下部で解説するように、ワキガ臭は皮膚表面に存在する菌の働きによるものであり、お酢を患部に塗布すれば、これらの細菌を死滅させる事が出来ます。
また、汗に含まれるアンモニアも臭いの原因ですが、アルカリ性であるアンモニアは酸性であるお酢と反応し中和します。これにより、アンモニアによる臭いが軽減します。
以上二つの理由により、お酢はワキガに有効であろうと言えます。
ワキガ臭の原因は、汗腺の1つであるアポクリン腺からの汗にあります。アポクリン腺は局所的に存在し、ワキには多くのアポクリン腺が存在します。
アポクリン腺から分泌される汗は、脂質やアンモニア等の不純物が多く含まれているのが特徴。この不純物は皮膚表面に生息する常在菌の餌となります。菌はこれらの物質を分解する際に分解臭を発します。
この分解臭がワキガの臭いとなります。
汗は血液の構成要素の一つである血漿から作られます。通常、汗腺は血液から血漿だけを取り出し、ミネラルやアンモニア等は血液に返します。これを「汗腺の再吸収」と呼びます。
何らかの原因で汗腺の再吸収が上手くいかないと、汗の中に細菌の餌となる不純物が多くなります。これにより臭いがきつくなる事もあります。
お酢は酸性の液体であり、菌は酸に弱いのでお酢で死滅してしまいます。これがお酢が殺菌効果を持つ理由です。
この効果を利用して、料理では防腐剤として活用される事があります。例えば、酢飯やピクルスなども酢の殺菌効果を活用しており、酢を加えた事で保存がききます。
お酢は酸性の液体なので、アルカリ性の液体を中和する事が出来ます。体臭の原因の一つであるアンモニアはアルカリ性のため、お酢を用いればアンモニアを中和出来、臭いを消す事が出来ます。
クエン酸でトイレ掃除をすると臭いが消えるという掃除テクニックがありますが、これも上述の内容とメカニズムは同じ。クエン酸もお酢と同様酸性なので、尿に含まれるアンモニアを中和出来、トイレを消臭出来るのです。
五味クリニックの五味医師は、酢を用いたワキガ対策法として、「酢風呂」「酢の摂取」の二つを提唱しています。
下部では、この二つの対策法のやり方、体臭が抑えられるメカニズムについて解説します。尚、これらは民間療法のようなものであり、絶対に効果があるとは言い切れません。あまり期待しすぎずに取り組んで下さい。
五味クリニックの院長・五味常明医師は、ワキガ対策としてお酢風呂を推奨しています。
お酢風呂の作り方は、180リットルの湯の中にコップ1杯、約100mlのお酢を入れるだけです。一般家庭にある湯船のサイズは満杯まで入れると約240ℓ。よって、7割ぐらいお湯をはった状態が160ℓとなります。もちろん、ご家庭ごとに湯船のサイズは異なるので、適宜調整して下さい。
湯船に浸かる時間に特に決まりはありませんが、最後はシャワーで洗い流すようにして下さい。
酢風呂に入浴すると、酢の殺菌効果により肌表面を清潔に保つ事が出来ます。ワキガの臭いは皮膚表面の細菌によるものなので、その細菌が死滅すればワキガの臭いも軽減します。
毎日大さじ一杯程度のお酢を摂取すると良いです。普通のお酢では飲みにくいという場合は、黒酢で代用しても構いません。
お酢にはクエン酸が多く含まれています。クエン酸は、クエン酸回路と呼ばれるエネルギー産生システムに必要不可欠な化学物質です。クエン酸回路の過程では、アンモニアの発生は抑えられます。
お酢を摂取すると、体内にクエン酸が充実している状態となるため、クエン酸回路を用いた代謝が行われます。その結果、血液の血漿から作り出される汗もアンモニア濃度が低く臭いが弱いものとなります。
五味医師によると、発汗はクエン酸回路と解糖系の二つの代謝経路が関係しているとのこと。
通常はクエン酸をエネルギー源とするクエン酸を用いて発汗のエネルギーが産生されます。しかし、運動による酸素不足などに陥ると、糖を分解する解糖系でエネルギーを得ようとします。
この解糖系でエネルギーの産生を行うと、血液中にアンモニア、尿素の濃度が上昇します。これにより血液から作られる汗のアンモニア濃度も上昇し、体臭がきつくなります。
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