手汗は緊張や不安なときに出るので、「タバコを吸ってリラックスすれば抑えられるのではないのか?」とお考えの喫煙者の方もいると思います。実際にタバコを吸うと「汗が減ったような気がする」という人もいるかもしれません。
実は、汗・手汗とタバコには深い関係があります。しかし、実際のところタバコの作用は、喫煙すれば汗を止める、いった単純なものではなくちょっと複雑です。
本記事ではまず喫煙者の方の汗による悩み・口コミを確認した後、タバコの主成分であるニコチンについて解説します。
喫煙により発汗は抑えられるという意見がある一方、逆に汗が多くなってしまうという相反する意見も存在するようです。
これは、単なる体質の違いや、感じ方の違いによるものというわけではありません。実は、タバコはその神経への作用により「発汗抑制」「発汗促進」のどちらにも働くことがあります。
タバコの作用を説明する前に、まずは人間の発汗メカニズムについて確認しましょう。
脳から下された発汗の命令は、自律神経の一つである交感神経の働きを活発にします。そして、交感神経の末端から神経伝達物質である「アセチルコリン」を分泌します。
このアセチルコリンが、汗腺にあるアセチルコリン受容体と結合することにより、汗腺からの発汗が促されます。
汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」と呼ばれる2種類のものがあり、それぞれ発汗のメカニズムは異なります。しかし、アセチルコリンが汗腺に働きかけるという所は共通しています。
手汗はエクリン腺からの発汗で、心理的要因、例えば緊張や不安といったものによって引き起こされます。つまり、リラックスした状態では手汗は少なります。
緊張や不安を感じる => 脳が交感神経を刺激 => 神経末端からアセチルコリンを分泌 => 汗腺の受容体と結合 => 手汗が出る
ニコチンは、タバコに含まれる成分の一つで、とても依存性の高い化学物質である事が知られています。また、大変即効性が高く、タバコを吸って8秒後には脳へと刺激が伝搬するようです。
ニコチンには、自律神経の刺激と抑制という二つの相反する薬理作用があり、これはニコチン摂取量に依存しています。
ここでは薬理学の観点からニコチンと発汗を促す神経について考えていきます。なお「薬理学: 薬学教育モデル・コアカリキュラム準拠」という本に基づいて解説しますが、今後の研究によって異なる報告がなされることもある、という点には注意してください。
ニコチンを摂取すると自律神経を活発化させます。より詳しく解説すると、自律神経は主に以下の二つの機構を介して興奮が促されます。
・ニコチン受容体経由の反応
・ムスカリン受容体経由の反応
ニコチン受容体経由の反応は速く伝搬し、ムスカリン受容体経由の反応はゆっくり伝わります。ニコチンが刺激する受容体は、ニコチン受容体の方であり、そのためニコチンは迅速に体に働きかけます。
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