汗疱とは、手湿疹の一種であり、主に指の間や淵、手の平、足の裏に水膨れが生じ、痒みや痛みといった症状を伴います。汗疱状湿疹、異汗性湿疹とった名で呼ばれる事もあります。
汗疱の発生原因には、手汗や足汗と金属アレルギーが関与していると考えられており、手汗でお悩みの方の中には、この症状に心当たりがある人もいるかもしれません。
手湿疹は、その湿疹の形状と、病態(もしくは原因)によって分類する事ができます(手湿疹診療ガイドライン記載の分類法を参考にしています)。
汗疱は、再発性水疱型の形状を持ち、アレルギー性の皮膚炎であると考えらえれています。以下でもう少し詳しく解説しましょう!
皮疹の形態、形状での分類において、汗疱は「再発性水疱型」というカテゴリに属するものになります。
再発性水疱型手湿疹は、手や足の裏にでき、左右対称性をもつという特徴を持っています。この型の湿疹の発生原因には不明な点が多いですが、ニッケル等による金属アレルギー反応と関係があると考えられています。
手湿疹を病態から分類する方法もあり、汗疱は、化学物質、特に金属イオンによるアレルギー性接触皮膚炎だと考えられます。
実は、汗疱の原因についてはまだ不明な点が数多く存在し、良く分からないというのが現状です。しかし、
・発汗で汗疱は悪化する
・汗疱を患う人は金属アレルギーを持っている場合が多い
・汗疱が発生しやすい手の平や足といった部位では、発汗量が多く、かつ金属イオン濃度が高い汗が分泌される
という事実は分かっており、この事実より汗疱の発生原因には、汗と金属アレルギーが深く関係しているだろうと考えられています。
金属アレルギーには、食物や周りの環境中の金属イオンを口や粘膜で吸収する事により発症する「全身性金属アレルギー」と、金属製のアクセサリー等を身に着ける事で発症する「金属接触アレルギー」の2つに分類することができます。
このうち、汗疱と関係があるのは、「全身性金属アレルギー」の方です。アレルギー反応を起こす特定の金属を含む食べ物を摂取すると、その金属は汗、尿、便として排出されます。
金属アレルギーを持つ人の場合、汗と一緒に排出される金属イオンにより皮膚が荒れる場合があります。とりわけ手の平や足の裏では汗腺が多く存在し、汗中の金属イオンも高くなる傾向があるという事なので、症状がひどくなり、汗疱を発症するといわれています。
この記事の導入部分で、汗疱を病態(原因と言い換えても問題ない)から分類すると「化学物質によるアレルギー性接触皮膚炎」に属するであろうと述べました。
この(手湿疹診療ガイドラインでの)分類方法では、手湿疹を、「刺激性接触皮膚炎」、「化学物質によるアレルギー性接触皮膚炎」、「タンパク質抗原に対する接触皮膚炎」、「アトピー型手湿疹」の4つに分類しています。
刺激性皮膚炎は物理的、もしくは化学的な刺激により引き起こされる手湿疹です。例えば洗剤で手が荒れたりというのはこちらのグループに属します。
タンパク質抗原による手湿疹は、いわゆるⅠ型アレルギー(即時型アナフィラキシー型)反応によって引き起こされる手湿疹の事を指します。
Ⅰ型アレルギー反応とは、IgE抗体が関与したアレルギー反応の事で、ダニやハウスダストによるアレルギー症状もこの型に分類されます。ちなみに金属アレルギーはT細胞と呼ばれる細胞が関与するⅣ型に属します。
アトピー型手湿疹は、アトピーにより皮膚のバリア機能が低下することで引き起こされる手湿疹の事を指します。
手の平に湿疹ができた際は、以下の項目をチェックしてみて下さい。
・汗疱の形状と酷似している
・手汗、足汗がひどい
・金属アレルギーがある
・痒みや痛みがある
該当する項目が多いほど、その症状が汗疱である可能性が高いです。
汗疱の発症には金属アレルギーが関与している事が多いので、病院では
・パッチテスト
・金属内服テスト
・経皮接触制限
・経消化管摂取制限
などの方法で金属アレルギーのチェックを行います。もちろん医師によっては異なり診断をすることもあります。
また、刺激性皮膚炎など他の原因による手湿疹の可能性の除外なども行い、汗疱であるかを診断します(金属アレルギー由来の発疹には、汗疱以外にも貨幣状湿疹、扁平苔癬など様々なものがあります)。
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