緊張時、大事な場面にかぎって多量に出てくる手汗。一体何のためにこんなところから汗が出るのかって疑問に思っている人も多いはず。
いっそのこと無くなればいいのに…。手汗が多くて気にしている人は一度や二度そう考えた事があるはずです。
汗には温熱性発汗、精神性発汗、味覚性発汗の3つがあります。このうち、特に温熱性発汗は、カラダの体温を下げる・調節するという重要な役割を担っています。
極端な例でいうと、気温の高い夏場に運動をしていて汗をかかなかった場合、熱中症になってしまう、ということです。
手汗は体温が高い、気候が暖かいときだけではなく、緊張する場面や精神的プレッシャー、ストレスを感じているときにも出ますよね。これは緊張性発汗と呼ばれています。
その役割は、かつては危機的状況に陥った時に手に持ったものが滑らないようにするという立派な役割があったと考えられています。そして、その機能は現代ではそれほど重要なものではないといわれています。
ちなみに、現代の医療では、ETS手術と呼ばれる手汗を強制的に止める方法も存在します。
手掌多汗症の人に対して行われ、手汗の発汗に関係する交感神経を切除することで永続的に手汗をかかないようにする事ができます。
ただし、代償性発汗という副作用もあります。手から汗は出ない一方、体の他の部位から通常より多く汗が出る、という症状です。
無汗症とは運動や夏場の猛暑の中でも発汗がみられない、もしくは十分な発汗がみられない病気の事。
もともと汗をかいてたはずなのにある日突然かかなくなる後天性のものと、生まれつき汗腺が無いために引き起こされる先天性のものが存在します。
後天性無汗症は、神経、内分泌、代謝系の疾患や薬物により引き起こされる「続発性無汗症」と、原因不明の「特発性無汗症」に分けられます。
さらに、特発性の無汗症は体の一部分が無汗になる「特発性分節型無汗症(ISA)」と、体全身が無汗となる「特発性後天性全身性無汗症(AIGA)」に分けられるそうです。
ISAの場合は一部の交感神経に原因があり、その部分に関係した発汗部位のみに発汗障害が見られます。
ISAでは部分的に無汗になるので体温調節機能にそこまで多大な影響を与える事は少ないです。
AIGAの場合、精神性発汗は正常に機能するものの、温熱性発汗はうまく機能しておらず、顔面、頸部、腋窩、手掌、足の裏からは発汗はするにも関わらず、それ以外の部分からは全く発汗しない、もしくは著しく発汗量が少なくなります。
温熱性発汗が機能していないために、激しい運動、夏場の気温の高い所での活動で体温を下げる事ができず、熱中症を引き起こしやすくなります。
先天性無汗症は遺伝子の異常によって引き起こされます。難しい言葉ですが、遺伝性感覚自律神経ニューロパチーと呼ばれる遺伝子疾患群のうち、4型とよばれるタイプの場合は、温痛覚消失により温度や痛みを感じれられず、加えて全身の発汗機能が低下、もしくは消失するという症状を伴うそうです。
ここで、無汗症の一つである無汗(低汗)性外胚葉不全について概要を見てみましょう。
外胚葉形成不全症という遺伝子異常により引き起こされる疾患があります。様々な症状を引き起こしますが、汗が全く出ない、もしくは少ししか出ないことが代表的な症状のひとつだそうです。
汗が出ないことで、体温調節機能がうまく機能せず、高熱下でのうつ熱症状、熱中症を頻繁に起こしてしまいます。それらが繰り返し引き起こされることにより知能発達遅延を引き起こしたり、乳幼児の場合はこの症状により死に至る場合もあるのです。
また、発汗の低下により皮膚を乾燥状態となり、アトピー性皮膚炎や雛壁(しわ)が幼いころからある、といった影響も出てしまいます。
遺伝性のため、基本的に根本的な治療法が存在ないとされています。
夏場はエアコンが効いた部屋で過ごすようにして熱中症対策、肌の乾燥・アトピー性皮膚炎対策にスキンケアといった方法で対策するのが主です。
上述の通り、無汗は症状の1つですので、他の症状にも対応する必要あります。
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